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top > 薬局経営改善のススメ > 第2回 どのような企業が伸びるのか?

 

薬局を取り巻く市場環境を人材とIT活用の両面から読み解き、経営改善のヒントを導き

出すための情報をお届けします。 ●井手口直子氏プロフィール / バックナンバー

 

薬局をとりまく経営環境が厳しくなる中、どういう人材(薬剤師)がこれから求められるのか、また急速に広まりつつあるIT(情報通信技術)を活用して何ができるのか。日本大学薬学部専任講師であり、(株)新医療総研の顧問井手口直子氏へのインタビューを通じ、経営改善のヒントを導きだしていきます。

 

 

地道な社員教育が実を結ぶ

 

―伸びている薬局には、何か共通点がありますか?

 

井手口:私が独立してから14年の間に、多くの薬局をみてきましたが、伸びている企業に共通していることは、間違いなく、社員教育がしっかりとなされているということです。

 

これはある地方の薬局の事例です。その薬局を経営なさっている社長は薬剤師ではないのですが、当初より「社員教育は重要だ」と一貫して言い続けておられました。その企業には、10年ほど前にはじめて伺ったのですが、当時の薬剤師さん達が集まっている研修会場の雰囲気は、少しどんよりとしていて、今思うとあまりよい印象ではありませんでした。

 

それから、その企業には社員研修などのご支援を継続して行っておりますが、今では学生にとても人気のある薬局になっています。人材の獲得が比較的難しい地域でありながら、新卒採用時期には人材を選べるまでの組織となりました。当然ながら、入社してからも社員の皆さんは、生き生きと働いていて、表情がとてもよいですね。

 

―そのような良い変化には、やはり社員教育が大きな役割を果たしていますか?

 

井手口:そうですね。地道な教育が実を結んだというしかないと思います。社長様の経営の考え方やスキルなど、トータルのバランスの良さも大事だと思いますが、そのような方は経営者としても、もちろん優秀でしょうし、人材育成に、しっかりとした考え方をお持ちです。将来を見据えて、きちんと社員教育に取り組んでいらしたことで、実際に、厳しいこの業界にありながら、伸びているというのは事実です。

 

 

今いる人材に投資し、育てていく

 

―教育コストをあまりかけない薬局もあるかと思います。

 

井手口:人材に投資することは、即効性はないかもしれませんが、後からじわじわと必ず効いてくるものです。しかし、人材育成や教育のコンサルティングを検討なさっている立場だと、やはり費用対効果を求めますよね。大半の薬局様は、研修会を一回実施しただけで社員全員が変わればいいとお考えです。

 

私が独立した当初、「コミュニケーションのカウンセリング教育」などをよく行っていました。コミュニケーションなどの対人スキルの場合、一回で変わることができる人というのは、ほとんどいません。ですが、中にはまれに一回で変わる人もいるんですよ。「研修など受講したくない」と拒否反応を示す社員さんもいますが。


ですから、最初からやみくもに皆に同じ教育をするのはあまり意味がありません。誰にどんな教育が必要なのか、つまり「ヒューマンアセスメント(※)」の考え方を導入します。そうすると一人ひとりが抱えている成長の問題がわかります。それを丁寧にみていって、適宜教育を施し、最後にまた効果をみるというやり方が効果的です。この方法は、コストも時間も多少かかるのですが、もっとも効果が期待できるやり方です。


―継続して教育していくことが重要ですね。

 

井手口:そうですね。とくに一年目は、必ずといっていいほど組織のウミが吹き出します。
そこで止めてしまうと絶対によくありません。それでも続けると二年目には随分と変わってきます。さらに三年目にもなれば目に見えてよくなりますね。雰囲気はもちろん、組織そのものが変わります。だから研修を続けていてよかったなとすごく実感しますね。

 

―あらためて社員教育の大切さを実感しました。

 

井手口:人を長く雇うというのはそれだけコストがかかるものです。でも簡単に人を入れ替えるのではなくて、今いる人材にお金をかけて育てていく方が、長い目でみると組織のためには、よいことだと思っています。うまくいっている会社はその考え方を実践なさっています。明らかにそのような会社は、社内の雰囲気が違います。薬剤師の方々が、皆、穏やかな表情で前向きに仕事をなさっているのがわかります。研修をしていても、話を聞くときの表情や反応が非常によいですね。

 

 

(※)「ヒューマンアセスメント」・・・個人や組織の能力や特性をさまざまな観点から分析・測定し、特徴を把握する手法のこと。

 

次回第3回予告 「薬剤師のキャリアパスについて」

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