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top > 薬局経営改善のススメ > 第1回 時代の変化にともなう薬剤師市場の変遷

 

薬局を取り巻く市場環境を人材とIT活用の両面から読み解き、経営改善のヒントを導き

出すための情報をお届けします。 ●井手口直子氏プロフィール / バックナンバー

 

薬局をとりまく経営環境が厳しくなる中、どういう人材(薬剤師)がこれから求められるのか、また急速に広まりつつあるIT(情報通信技術)を活用して何ができるのか。日本大学薬学部専任講師であり、(株)新医療総研の顧問井手口直子氏へのインタビューを通じ、経営改善のヒントを導きだしていきます。

 

 

医薬分業により患者さんとの接点が増えた

 

―ここ数年の薬局を取り巻く経営環境はいかがですか?

 

井手口:15年前くらいまでは、薬局自体つくればつくるだけ儲かった時代でした。個人経営であっても比較的簡単にやっていけました。でも今となっては競争や人材確保などの問題もあり難しいのが現状ですね。また今後は調剤報酬の改定もありますし、法規制の面でもしっかりと一つ一つハードルをクリアしていかないと経営は厳しくなる一方ですね。

 

―井手口先生は人材育成の立場から多くの薬局とかかわっていらしたと思います。

 

井手口:そうですね。私は経営指導というよりも人材育成のコンサルタントという立場でかかわっていましたので、その視点で申し上げるといくつか問題意識をもっています。

 

もともと薬剤師は、医療従事者としてどちらかというと地味で控えめなポジションでした。私は常に薬剤師目線といいますか、やはり薬剤師が大好きなものですから。いつも私自身、薬剤師であるというアイデンティティをもっています。

 

かつて 10数年前に、薬剤師が活躍できる場が広がりはじめた時期があり、そのころは実際に、どんどん職域が広がっていきました。

 

―具体的にはどのような点ですか?

 

井手口:一つには病棟に薬剤師が入って入院患者さんに直接服薬指導を 行うようになったということでした。医師の回診にも同行しチームで活躍し始めた。一方で医薬分業が大きく進んでいくことで薬局での患者さんとの接点が増えたという点ですね。過去の薬剤師は、病院の調剤室にこもってただひたすら薬をつくるか、薬局のおじさんという二つのイメージだったのですが、そこからさらに広がったなという実感がありましたね。

 

それから後、10年くらいは、広がった職域の中でチャレンジしてみたい仕事なども、好きなようにできたと感じていた時期で、私自身もずっと自分の望む仕事をやってきたつもりですが、月日が経つにつれ、そのような時期はもう本当にその10年間で終わったなという感じです。

 

 

薬剤師ひとり一人の能力が評価される時代に

 

―これからの時代はいかがですか?

 

井手口:薬学部が増えたことで薬剤師過剰の時代になりました。これは業界が抱える大きな問題の一つです。ただしこれには、良い面とそうでない面があります。あながち悪い面だけでもないとは思いますが・・・。
今まで、学生に対して「なぜ薬剤師になろうと思うのか?」とたずねると、「資格がとれるから」という回答がよくありました。つまり、薬剤師のキャリアパスを考えたとき、今までは資格だけで食べていけた時代、資格や免許があればそれだけで生活ができた時代でした。

 

―当然、需要と供給のバランスというものがありますが。

 

井手口:ちょうど医薬分業で右肩上がりに薬局のマーケットが伸びていった時代というのは、どの薬局でも人材がほしくて仕方がありませんでしたので、高い給与を出していましたし、一方の薬剤師側としても転職すれば仕事内容はあまり変わらないにもかかわらず、前職よりも給与アップということは往々にしてありました。

 

ただ、今の時代はもう難しい話で、反対に安易に転職すればするほど条件は悪くなるだけです。つまり当時はバブルだったとしかいいようがないのですが、おっしゃるように要は需給の関係ですね。だからバブル時代は、スキルや能力など中身は問われていなかったですし、企業側も人材的に問題があったとしても、当時の状況からして辞められては困るわけです。だから当然引き止めますよね。

 

―なるほど、そうですね。

 

井手口:ただそのような人は組織に良い影響を与えていない場合も多いので、他の薬剤師も伸びないということもおきてしまいます。そういった意味で、本当に一人一人の努力であったり、能力を発揮することが評価される時代になったのかなと思いますね。

 

 

次回第2回予告 「どのような企業が伸びるのか?」

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